中毛地域
出不精も耳そばだてる花便り | 万葉集歌う伊香保は湯の都 |
大振袖すそ野は長し赤城山 | 花形の面影残す煉瓦蔵 |
謙信が名月見たか前橋城 | 五月雨は華の天守も攻め落とす |
先駆けて赤城南麓絹の道 | 黒い塀製糸の煙突空を衝く |
ゴオゴオと天に抜けるや堰の音 | |
伊勢の守袋竹刀を世に遺す | 蟷螂も弟子入りするや斧を下げ |
剣聖が奥義きわめた隠れ里 | |
静寂の社にそそぐ蝉時雨 | クチナシの花を日傘に姫の塚 |
生きてこそ次の世紡ぐ糸車 | |
刀置き民のかまどに煙立つ | |
三世代十円木馬もお待ちかね | 利根分水ちょっと寄り道ルナパーク |
五千石天狗も活躍用水路 | 名君の恩を石碑に光厳寺 |
広瀬川水と緑と詩の町 | 壕の跡追悼の碑に千羽鶴 |
匂うほど林に満ちる松の息 | 〇〇君夏風運ぶアナウンス |
大利根に貫禄勝ちや古利根川 | カート押す姿見かけず西日落つ |
佐渡の金江戸に半ばの中山宿 | |
侠客が今宵限りと惜しむ月 | 裏街道追われ岩屋に身を潜め |
子守唄滝が囃して月ほのか | 逃避行千本桜の花道に |
講談の清濁併せ飲む忠治 | 遠く富士名峰赤城の温泉郷 |
紙相撲綱の四股名は黒檜山 | 電波塔黙して語る地蔵岳 |
神の手が山塊砕き拓く里 | 緑陰が開けポッコリ鍋割山 |
静けさや覚満淵に畏れさえ | 水流る空母赤城の眠る海 |
距離十間城主カモシカ射竦める | 先生かい畑の城主に痛み入り |
関越道眼下の橋脚崖の尺 | |
関八州北の要に白井宿 | 崖端城二本の大河を睥睨し |
千年の歴史の郷に八重桜 | |
しその実がうどんに一味添える膳 | 人生訓背筋もピンと長寿庵 |
赤ワイン無銭許さず蚊にパンチ | |
野の古墳軍配山に目を覚まし | 一益よここは関東兵を引け |
戦止み田植え歌聞く神流川 | |
西毛地域
葉が落ちて小春日和の空高く | 榛名富士揺れる湖面はミュージアム |
スズムシの宴もたけなわ星月夜 | 防人が別れを告げる妙義山 |
名将が支城砦を縦横に | 梅の郷武田と相食む虎一頭 |
無勢にも大軍阻む堀深し | 紅白梅戦が止んで人を待つ |
榛名背に城下滔々長野堰 | 町を割り天地人世に芝桜 |
水路引き帰農願いに二心無く | 次の世を担う若者雲に描く |
小栗公百年の計今の世に | |
天下人赤城榛名を我が物に | |
走り梅雨古刹の札に朱の伽藍 | 寺知るや風林火山の進撃を |
心せよ松井田城に熊の檻 | 山ひとつ堀と土塁が横たわる |
城が落ち六斎市に人溢れ | |
剣ヶ峰関所破りもやる気萎え | めがね橋峠でドッキリ器量好し |
もみじ映え険しき妙義に気圧される | |
お不動様遠目に参拝荒船山 | 中山道江戸は東に杉並木 |
京遥か行き来が交わす一里塚 | |
初市にはぐれオヤジの叫ぶ声 | |
福だるま侍ブルーを身に纏い | 達磨寺に仰ぐ石段黄金比 |
碓氷路に近寄りがたい美女ごとく | 渓谷に落ちた帽子を母に訊く |
雪埋まる厳冬も良し霧積温泉 | |
夏は花火金魚すくいにカブト虫 | 懐かしい童謡童話がお湯に咲く |
四世代四つ葉の花よ磯部の湯 | |
奥多野に地球の王の足の跡 | 人知れず森は豊かに水湛え |
花しぶき地球に濾され神流川 | |
戦艦に胸高なりし荒船山 | 白壁に維新の胎動弾の跡 |
牛の群れ冒険王や妙義山 | |
秋の陽にネギとこんにゃく光る町 | 横縞は地球の機織りジオパーク |
スヤスヤと荒船風穴母の腕 | |
国開く青いトラスと工女の手 | 母恋し製糸の町に映画館 |
煉瓦色世界を染めて絹遺産 | |
防人の歌と三碑の道に遭う | 幟旗関東管領守備の兵 |
年の瀬の里にひっそり冬桜 | |
ヘラブナと太公望が無言劇 | 息災を祈る神社に和算額 |
陸蒸気支える枕木高山社 | |
さんざめく今宵の旅籠は倉賀野宿 | 高札に口角の泡威勢よく |
追分の標に寄り添う常夜灯 | |
東毛地域
活火山裾野は雄弁赤城山 | |
女堀手掘りの溝は絵文字かな | 堀の先瑞々しさよ花しょうぶ |
銘仙のノコギリ屋根が天を衝く | 夕日背に島村渡船はミレーの絵 |
絹遺産櫓は船のマストかな | |
御家人がいざ鎌倉と駆けた道 | 陸にして工場群はハブ港 |
縁切りと厠で寄り添う縁結び | 新春の御釿始めに朝日差し |
義貞公太刀の鞘鳴り生品に | 若武者が空に雄叫び鏑矢祭 |
堅城に更なる要害つづら折り | 謙信の攻めに耐えたり金山城 |
去りがたしカタクリ道にひっそりと | |
慈悲深く子育て呑龍人絶えず | 門前に浅草行きの東武線 |
義貞公手負いの兵に藪塚の湯 | |
水路の絵町を見守る名代官 | 江戸情緒貨幣も両替三日月村 |
高津戸峡はねたき橋は桟敷席 | 菊人形大河ドラマぞ見得を切り |
わ鉄愛駅のトイレもピッカピカ | |
大江戸へ銅街道渡良瀬川 | |
隠れ宿偲ぶ明治に芭蕉の句 | 野辺に咲く詩画を世界の街角に |
鍾乳洞封切り不明のロードショー | |
石筍は地球が文字盤大時計 | コウモリが黒光りしてデモ飛行 |
対岸にセピア色した銅の町 | 開け行く時代の影か山の肌 |
朝刊に汗する植林ボランティア | |
黒煙がモノクロ写真に龍を描く | 取り戻せ水と空気を民の声 |
渓谷を走るわ鉄に花吹雪 | |
糸の町結ぶ上電絹の町 | 錦桜橋渡れば日本の機どころ |
あしぎぬの古語が息づく町工場 | 関ヶ原軍旗たなびく桐生織 |
錦の絵友禅流しの桐生川 | |
冬の日にノコギリ屋根が背伸びする | 秋訪ね織都の寺に床もみじ |
紗綾市の小路に振り合う春の袖 | |
丸顔でスタイリッシュで颯爽と | 急坂もあに図らんやグングンと |
セマヒロのてんとう虫はモノコック | |
関東に結城紬と桐生織 | 武者絵巻結城合戦鏑矢祭 |
急ぐまい桜吹雪を小泉城 | |
よくぞ来た神話の国からコハクチョウ | ガバ沼を夕日が染めて歓迎会 |
白鳥の湖遠目でご覧あれ | |
大空に一筆書きのVの文字 | 地形見よ第二の故郷群馬県 |
北帰行君は平和のメッセンジャー | |
渡し船五月の空に鯉のぼり | 大利根に千代田レガッタ川せがき |
見晴るかす大河滔々鶴の先 | |
黒い龍山河大地を這うように | 鉱毒は時間空間心をも |
渡良瀬の瀬音が洗う荒廃地 | |
先駆けて水と大気を守る村 | 大利根も声なき声の背中押し |
白い髭明治の気骨ぞ正造翁 | |
ヘラブナと太公望が糸電話 | 揚げ船が水郷めぐる春と秋 |
鶴の端に大河交わり早場米 | |
みちのくと花のお江戸の結節点 | 旧駅舎ミストにけむり麗しく |
方位良しスカイツリーと鶴と富士 | |
走り梅雨二業見番艶姿 | 茂林寺の狸としばし見つめ合い |
ビルのない夕焼け小焼けの里沼よ | 多々良沼冬の恋人コハクチョウ |
気がつけばつつじが岡が暮れなずむ | |
北毛地域
衣擦れやはたまたススキの囁きや | いい湯だなお国訛りの草津節 |
秋桜大地に波打つ風一陣 | 湯の花がチョイナチョイナと福招き |
新緑のコバルトブルーよ奥四万湖 | 四万の苦も楽となり上がりの湯 |
プレ五輪ボルダリングにラフティング | 雪解けに大利根出づる水上郷 |
姫の香や御殿桜が崖に咲く | 血肉裂き太閤捧ぐ赤備え |
葉桜に次に来る世を託し散る | |
六文銭三途の川も飛び越えよ | 小なりといえど大食うマグマ秘め |
吾妻路にそびえる守護神岩櫃城 | |
浅間押しイロハモミジの道たどる | 土石流耐えて命の十五段 |
力尽き庇い重なるあと数段 | |
道半ば祠の陰に岩清水 | 追分の標を照らすおぼろ月 |
峠越え旅籠の灯りに下り坂 | |
露天風呂庇が空をトリミング | 湯船浮く月招きたき広さかな |
神無月何を申すか秋の月 | |
大地織る吹割三条瀑二つ | 共白髪千畳敷の夫婦岩 |
石ころが紀元前から楕円彫り | |
深手負う大蛇も癒えて名泉に | 鱒が跳ねとうもろこしも旬の頃 |
百名山望む名湯老神郷 | |
藁鉄砲豊作に打つ十日夜 | |
税苦役生かさず殺さず怨嗟満ち | 訴状手に雪踏みしだき江戸へ発つ |
悪政の藩主改易至誠天 | 茂左衛門本懐遂げるも妻共に |
青もみじ瀬音寄り添う地蔵堂 | |
ひとしずく大河ここから分水嶺 | |
名にし負う坂東太郎は暴れ川 | 謀られし主郭に殉ず袖曲輪 |
落ち鮎に安眠誘う丸い月 | 源平がホタルになって盆踊り |
名胡桃城瑞穂の国の礎に | |
列島の海の衝立三国の嶺 | 花畑越後の兵の墓守や |
らしからぬムラサキ可憐なトリカブト | |
月も降り逆さ桜に夜が白む | シベリアの寒気に勝る三国の湯 |
温故知新たくみの里と民話の夜 | |
足が棒遥かな尾瀬は倍返し | |
ポッカ行く背負子まっすぐ空に立つ | 腕クロス演武さながら足運び |
尾瀬の稀湿原の妙綱渡り | 木道は環境破壊のクローザー |
Vの字の雪渓ポタリリズミカル | 雪解けは日本の四季のプロデューサー |
春の雪スイスのホルンや早春賦 | |
ナンテンが緋縅纏うお正月 | |
スプリング字引も洒落て跳ぶ跳ねる | 日も長く地球も一興福寿草 |
アサガオがポールダンスや雨上がり | お久しゅうチャスラフスカは五輪花 |
日韓の未来の姿に二輪草 | |
白銀は富豪も買えぬレアアース | 硫黄泉血液サラサラ肌の艶 |
キャベチューは嬬恋キャベツの名コック | 星が手にあなたの車は天守閣 |
万座にはコマクサシャクナゲリンドウも | |