立ち昇る希望の湯煙珠洲の空ポカポカに笑顔が弾ける仮設風呂
早く来い一輪でいい雪割草
暖流と寒流織り成す好漁場灯台が海の男に道照らし
神おわす朝日と夕日の交わる地
奥能登へFIREDEPTがひた走る緊迫の戦場かくや揚陸艇
先ず具足瓦礫に分け入る救助隊
蛇口から一筋の水途切れずにお風呂にも・・・安堵の涙も止めどなく
拝む手に笑顔が取り持つ工事の手水道を命の通り道と読む
厳冬を給水車が行く悪路越えどっさりとねぎらいの声満載し
いつかまた復興の能登を楽しみに
軽トラは隘路の達人スーパーカー晴れの日に荷台が舞台に早変わり
子らの手に空から豆がストライク鬼は外笑顔が呼び込む福は内
ワンコイン復興ご飯で持久走
アプト式碓氷峠で逆上がり能登の幸真っ赤なコークス動力源
仮復旧ホームにキラリヘルメット乗客に「お待たせしました」ボード手に
こちらこそ昼夜の作業ありがとうのと鉄道伴走ランナー春一番
久しぶり!おしゃべり満開花列車春眠やガタンゴトンも心地よく
みんな好きレールと車輪のリフレイン
七尾行き始発電車の笛響きいち早く勇姿が泣かせるのと鉄道
誰となく「間に合わせるぞ新学期」
東西は御日様の道北陸道大銀杏化粧まわしに光る肌
いつの日か恩を返さん土俵入り拍子木に故郷浮かぶ千秋楽
義仲軍平家の虚をつく火牛の計千尋の倶利伽羅峠の谷底へ
松明がなお燃えさかる火牛の像大軍を峠で殲滅開運地
店失くも北前船の寄港の地
一本杉マルシェに煌々和蝋燭交易で栄えた七尾の花明り
離散にも人々結ぶ火の祭りゆらゆらり柱松明神降りて
天焦がすキリコの雄叫び不退転
冬の夜遠く微かに夜鳴きそば越冬は焼き芋カイロにちゃんちゃんこ
避難所に祭屋台のサプライズ燃える愛カーボンゼロの屋台村
倒壊の原木ダメか生シイタケ初競りに歓声がわく11万!
復興の弾み車やのとてまり若者は時代の魁牽引者
熱々の煮込みうどんに冬野菜テレビ見て食べさせたいと妻ポツリ
給食もまばらなトレイに愛ほのか
「いっせーの」居間の空間押し広げ息ピタリお国訛りは違えども
見ず知らず光りの道も復旧し
もみじの手育て巣立ったピアニストこの家で旋律胸に新たな日
ボランティア希望の種もまいて去り
断水に雪解け水を汲む少女会えぬ友水の冷たさ辛くとも
和紙に向き「復興」の文字祈り込め卒業歌「旅立ちの日に」高らかに
ニッポンにウェブの先駆け郵便局紅白の信書の約束Tマーク
震災にめげず届いた年賀状
トルコもね地震の国ですワンアースその時もニッポン一番来てくれた
飛び切りの笑顔は世界の共通語
いらっしゃい!結構魔法の言葉ですテーブルの商品勝手にしゃべります
七尾市と南三陸は戦友です
断水もタンクの水で下ごしらえ能登島の名産並ぶ近江町
熱々のブリのあら汁飛ぶようにあったかい!売り手も買い手もポッカポカ
内浦の波穏やかな海岸線能登島のファーストクラスはペダリング
採れたてとゆっくり時間を普段着で皆様をお迎えする日を楽しみに
ウミネコが愛を迫るや喉鳴らし紅を引き白いドレスのユリカモメ
日に焼けた漁師は何処や浜千鳥人恋し長旅癒す渡り鳥
輪島港ソプラノひときわ競りの声採れたてのフグをいしるで一夜干し
リヤカーの見守り行商軽トラで顔チラリあとはおしゃべり足繁く
海女の漁人魚と見紛う舳倉島素潜りは魚突きモリと身のひとつ
知る人ぞ海女採りさざえ・あわびの名
海女の採る海産物を朝市で味自慢一番人気は蒸しあわび
遠路より「美味しかったよまた来たよ」離れません輪島は私の居場所です
オレンジのシンボルカラーに朝日差し品々に店主の愛着にじみ出る
なりわいが溢れるテントに人だかり方言が飛び交う店は見本市
形あるものいつかはというものの数千年命のバトンは色褪せず
朝市の通りに咲くや福寿草
食卓に一味添える箸一膳茶柱や免疫上げる笑い皺
土になる一生ものの漆塗り
生きとったか安堵のあまりぞんざいに瓦礫背に旧知の二人の目に力
手の中に絵付け待ってる輪島塗
ベンガラの赤い竪櫛朽ち果てず縄文と今の世生きた櫛の歯よ
神の手の作や漆と珪藻土輪島塗能登にふたたび甦れ
益良雄に玄界灘がよく似合うイカ釣り船金の岬に海女の像
ちはやぶる銀幕の神岩砕き
花溢れ私の都ぞ隠岐の島風よ聞け新島守ぞ我こそは
”ごとばんさん”御霊に捧げる白拍子
港町ブルース想う海の道風は友対馬海流連れ合いに
素潜り漁広がる枝村能登にまで
鐘崎の熱き漁師も涙する海底もあらわな港に貝の殻
悲しいね漁師が海に出られない
宗像と絆も強し能登の町血を分けた海の仲間の志
天を衝け能登にふたたび大漁旗